限界を感じている今日この頃

ラスベガスから帰ってきて旅行気分は一掃し、また日常の仕事に戻っております。

この頃、いろいろな方から「2店舗目出さないの?」と言われることが多くなってきました。

結論を言うと、私も店舗を増やす事を考えていないわけではありません。

この店1店舗で出来ることは限られているので、できればもっと店を増やしていきたいとは思ってはいます。

ただ、この頃はこの仕事にある種の限界を感じているので、2店舗目はどうしようかなと悩んでいる状態です。

「限界」と言うのはどういう限界かと言うと、今のままでは安定して高い品質を保つことが難しいという意味での限界です。

私の店の大きな売りとこだわりは”液晶純正パネルの質の高さ”です。

ここに関しては本当に日本一だと、私自身は自負しております。

ただ、その代わり、この品質を保つために、かなりのお金と労力がかかってしまっています。

パネルはiPhoneパーツの専門業者から購入しているのですが、画面の質が購入する度に毎回毎回違うので、高品質を保つために本当に苦労しております。

「じゃあ買う業者を変えればいいじゃん」と思うかもしれませんが、iPhoneパーツの業者というのはどこもほとんど変わらないんです。

ですので、変えたくても変えられない(どうせ変えても大差ないから)という事情があります。

選りすぐった中で今の業者さんのところから購入しているのですが、それでも出してくる画面の質が毎回違うので、揉めに揉めながら綺麗な画面を手に入れるために努力しております。


今はまだ規模が小さいので、これでもなんとか在庫が間に合っていますが、2店舗目を出したらどうでしょうか。

1店舗ですら画面の質を保つのに苦労しているのに、規模を大きくしてしまったら絶対に今のクオリティを保つことができないと思います。

コピーパネルが主流のその他大勢の店は、そんな「質」などということは一切気にしていないと思うので、店の数を好きなだけ増やせるでしょう。

ただ、うちの場合、店を増やせば増やすほど評判が落ちていく気がしてなりません。

なぜなら、質のいい画面を十分に用意することが今の状態ではできないからです。

自分のところで画面を再生することも考えましたが、正直、現状はそこまで設備投資しても回収できない、というが出来る見込みが薄いと思っています。

というのも、現在iPhone修理店は過渡期にあるので、今後、例えばAppleの方針で画面修理が完全にできなくなることもあり得ますし、法律に関しても引っかかる可能性もありますし、外的要因がかなり不安定な状態なので、大きな投資をするにはもう遅いからです。

ですので、私としてはもう少し質の高い画面をしっかりと確保し供給できる状態になれば店舗を増やしても、と考えております。

ただ、最近はしっかりと供給できるどころか、質自体が落ちてきているので、この商売の限界を感じております。

もし、店舗を増やすとしてもApple製品の買取を強く推した店にしようと思っています。

この「iPhoneの修理」という業態では、私が納得できる形で経営できないんです。

私はこの仕事を愛しているので出来るだけ続けたいのですが、この頃はこういう事情があり、かなり限界を感じています。

また、人を雇って店舗を作るにしても、この業界にいて尊敬できる人や一緒に働きたいと思ったことのある人も師匠を除くと居ないので、特に店を任せられるような人も見つけることが出来ていいません。

うちの店は、他の店と比べてお客様対応をかなり細かくしているので、そこをないがしろにされて評判が落ちてしまったら店を増やす意味もありません。

でも、私や師匠ほどの情熱を持って店舗運営していってくれる人を見つけることは奇跡に近いと思うので、やっぱり店を増やすなんて無理だなという結論に達してしまいます。

人は簡単に「店を増やせ」と言います。
この業界の大手と言われているような店を見ていれば「チェーン店なんて簡単に作れる」と思うのかもしれません。
確かにパーツの質や技術、接客を無視すれば簡単に店なんか作れますし、始められるでしょう。
しかし、その現状が今のこの業界の評判です。

“パーツは低品質ですぐ壊れる、ろくに検品もしていない、修理は下手、接客は適当、意味不明なことを言ってくる。”

こんな低レベルの店ばかりだからこそ、この業界への消費者からの風当たりが非常に強いんです。

こんな低レベルな店と同じように店を増やしたって、何の意味もありません。

品質の良いものが安く買えるこの時代に、こんな体たらくがまかり通っているのは本当にこの業界くらいだと思います。

この店を始めてから、今度何か新しいことを始める時には、自分ひとりで完結できるようなことをしようと思いました。
何かを仕入れて売るのではなく、自分ひとりで自分の裁量や能力で完結できることがいいです。
この仕事は他人が出してくるパーツの質が店の質にダイレクトに影響してしまうので、いくら自分がしっかりしていたとしても自分以外の要因が大きく入ってきてしまいます。
もうそういう仕事はうんざりです。

今のところは上記の理由から2店舗目を始めることができないですし、もし始めるとしてもApple製品の買取を大きく打ち出した店舗にしたいと思っています。

ただ、まぁ、iPhoneの修理の需要って高いですからね。

本当に難しいところです。


ー後日談ー

2020年3月15日更新

この時期は結構本当に限界を感じていて、思い悩んでいましたね。
ご存知の通り、今は2店舗になりましたが、在庫の確保は今でも苦労しています。
でも、なんとか2店舗分くらいは確保できるようになりました。
3店舗目はまだ絶対に無理です。笑